諸般の事情から、相続を放棄をしたいが、お墓だけは今後もしっかり守っていきたい。どうしたらいいか、というご相談を、最近、ほぼ同時期に複数受けました。

 お墓(お墓のある土地の所有権や借地権も含む)や位牌は、祭祀財産といって、預貯金や土地建物など相続財産と異なる扱いを受けます。
 したがって、相続放棄の場面に限っていえば、相続放棄により、相続財産については承継ができなくなったとしても、祭祀財産であるお墓は継ぐことができ、その後も守っていくことは可能なのです。
 たしかに、常識的に考えれば、たとえば親の借金が多く、普通に相続すれば相続をする方が破産をしなければならないような状況にある者は、墓も含めてすべて放棄して、債権者にお金を返さなくてはならないなどというのは変な結論ですから、上記のような結論は当然ともいえるかもしれませんね。

今西法律事務所